2026-07-09SALON STOCK編集部(現役美容師運営)

美容室の薬剤ロスを減らす方法|「作りすぎ」と「動かない在庫」を見える化する

「うちは材料をムダに捨ててなんかいないよ」——そう感じている方は、きっと多いと思います。実際、美容室は材料のやりくりが上手です。使わなくなった色も、仕上がりに影響しない範囲で少しずつ混ぜて使い切ったりして、上手に消費していきます。

でも、正直に言うと、材料は捨てている自覚がないところで、静かに減っています。調合で作りすぎて流しに消えていく分。使わないまま棚の奥で眠っている在庫。どれも「損した」という感覚が残りにくいぶん、気づかないうちに積み重なっていきます。

今日は、この見えにくいロスをどう減らすかを、やさしく整理してみます。値段の安い薬剤に変える、という話ではありません。品質はそのままに、こぼれ落ちていた分だけ拾う、という話です。

「捨てている自覚がない」ところで、材料は減っている

美容室のロスは、大きく3つの形で生まれます。

1. 作りすぎて、流しに消えていく分

一番リアルなのがこれだと思います。カラーの調合って、髪の量や、濡れているか乾いているかで必要量が変わります。この見極めは経験が要るもので、僕もアシスタントの頃は、1回のカラーで何十グラムも余らせて捨ててしまう、なんてことが少なくありませんでした。

1回では「失敗」ではありません。でも、毎日・何人分と積み重なると、けっこうな量になります。そして厄介なのは、これがどこにも記録されないこと。作った量も、捨てた量も、感覚のまま流れていきます。

2. 使わない色を「かさ増し」で消費する

使わなくなった色を、仕上がりに響かない範囲で他の色に少しずつ混ぜて減らしていく。これは美容室でよくある知恵で、悪いことではありません。ただ、これも「どれだけ余っていたのか」は数字に残らないまま消えていきます。

3. 動かないまま眠る在庫(デッドストック=動かない在庫)

一度使ってみたけれど出番の少ない色、指名の多かったお客様が来なくなって使わなくなった薬剤。こういう「もう何ヶ月も減っていない在庫」を、デッドストック(動かない在庫)と呼びます。

美容業界では、在庫のロスがまだそこまで大きな問題として意識されていない気がします。「なにかしら消費すればいい」という感覚があるからだと思います。でも、動かない在庫は、棚の場所とお金を静かに寝かせています。

なぜ「見えない」と、もったいないのか

僕は「損しますよ」と脅したいわけではありません。ロスが一本あったからといって、その日の施術が失敗するわけでもない。

ただ、削られているものはあります。それは還元できたはずの余白です。

見えないロスを減らせれば、その分は3つの方向に返せます。お客様へ——同じ価格でもう一歩いいものを。自分へ——時間や収入の余裕に。環境へ——捨てるものを減らす。安さで解決するのとは、まったく違う手触りだと思います。

ロスを減らす、無理のない考え方

特別なことは要りません。順番はこうです。

まず「作りすぎ」を数字にする

これまで感覚だった「作って、余って、捨てた分」を、記録して数字にしてみる。「今週、思ったよりこぼしてたな」が見えるだけで、次の調合がすこし慎重になります。数字は責めるためではなく、気づくためのものです。

持ちすぎない基準を決める

「安いから」のまとめ買いや、「なくなったら困る」の過剰在庫を防ぐには、感覚ではなく数字のラインが効きます。発注点(ここまで減ったら頼む)と適正在庫(持ちすぎない目標量)を決めておけば、期限切れになるほど抱え込むこと自体が起きにくくなります。発注点の考え方は発注点(リオーダーポイント)の計算方法でくわしく書いています。

動かない在庫に気づく

在庫が数字で見えていれば、「これ、何ヶ月も減っていないな」に自分で気づけます。気づけたら、早めに使い切る算段ができる。棚の奥に追いやったまま忘れてしまう、が減っていきます。

すべては「見える化」から始まる

ここまでの3つは、どれも「今どれだけあって、どれだけ使い、どれだけ捨てているか」が見えていることが前提です。

在庫管理アプリ「SALON STOCK」は、バーコードで在庫を記録していくと、今の在庫と材料費が自動で見える化されます。発注点を決めておけば「そろそろ発注」と教えてくれるので、まとめ買いも欠品も防ぎやすい。そして、作りすぎて捨てた分はロス記録として残せるので、これまで数字にならなかった「こぼしていた分」を、はじめて振り返れるようになります。

値段を下げるのではなく、見えていなかったムダを見えるようにする。その出発点になれたらうれしいです。

1人サロンはずっと無料。まずは"今の数字"を知ることから。 App StoreでダウンロードLINEで使い方を見る

まとめ

  • 美容室の材料ロスは「作りすぎて捨てる分」「使わない色の消費」「動かない在庫」など、捨てている自覚がないところで積み重なる
  • 捨てたぶんは、お客様・自分・環境に還元できたはずの余白を削っている
  • 減らすコツは、①作りすぎを数字にする ②発注点・適正在庫で持ちすぎない ③動かない在庫に気づく
  • すべての出発点は、在庫・材料費・ロスの「見える化」

あわせて読みたい

著者: SALON STOCK編集部。表参道の美容室で働く現役美容師が、サロンの在庫・材料費管理のために開発した「SALON STOCK」を運営しています。


■ のっち確認ポイント(推測・仮置きした箇所)

  • 「アシスタントの頃、1回のカラーで何十グラムも余らせて捨てた」← のっちの言葉をほぼそのまま本人体験として使いました。一般化しすぎ・盛りすぎがないかだけ確認を(「何十グラム」の表現含む)
  • アプリ機能の記述を実挙動に合わせて修正済み:「在庫」と「材料費」は自動で見える/発注点アラート/作りすぎは"ロス記録"で残せる の3点だけに絞り、前回書いていた「使用量が自動で見える」「動かない在庫が自動で数字に出る」は削除しました(=別途記録が要る/デッドストック自動可視化は現状ない、というのっちの指摘反映)。この3点の書き方が実際の画面と合っているか最終確認を。特に「ロス記録で"作りすぎて捨てた分"を残せる」が実装の使い方と齟齬ないか
  • 「動かない在庫に気づく」は"自分で在庫の数字を見て気づく"止まりに書いています(自動検出とは書いていない)。のっちが挙げたデッドストック管理機能(設定で「何ヶ月動かないか」を指定→専用カテゴリ/アラート)は、記事には入れず製品アイデアとして別途記録しました。この線引きでOKか
  • タイトルを「廃棄」中心から「ロス(作りすぎ・動かない在庫)」中心に変更しました。slugは reduce-material-waste のまま(棚と同期の都合)。タイトルの方向性でOKか
  • 数字は実測値を一切入れていません(廃棄額など把握できていないとのことなので)。pillarは「在庫(inventory)」のまま

材料費の見える化、はじめませんか?

SALON STOCKは美容室専用の在庫管理アプリ。バーコードで商品を登録するだけで、在庫・発注・材料費をまとめて管理できます。1人サロンはずっと無料。