2026-09-14 ・ SALON STOCK編集部(現役美容師運営)
美容室の利益率を上げる|材料費以外に効く数字
材料費率を測って、目標の8〜10%に収まっていることを確認できた。なのに、月末の通帳を見ると、思ったほど手元に残っていない——そんな違和感を覚えたことはありませんか。
僕自身、材料費を実際に測ってみるまで、自分のサロンの材料費がどれくらいかかっているのか、正直よく分かっていませんでした。測ってみて初めて「あ、思ったより抑えられていたんだ」と気づいたんです。ただ、その気づきと同時に、もう一つ分かったことがあります。材料費率だけを見ていても、利益率の全部は説明できない、ということです。今日は、材料費の外側にある「利益率に効く数字」の話をしてみます。
材料費を測ると、まず視界が変わる
材料費率を計算するというのは、単に「今どれくらい使っているか」を知る作業に見えて、実はそれ以上の意味があります。
僕の場合、客単価が平均より高めということもあって、材料費は思っていたよりも抑えられていました。業界の目安は知識として知っていても、自分のサロンの実数字までは把握できていなかった、ということです。この「測って初めて分かる」感覚は、材料費に限らずいろんな数字に当てはまります。
そして材料費を算出してみると、「メニューの時間単価だけを見ていたときには気づかなかった側面」が見えてくることがあります。時間単価が同じ2つのメニューでも、材料費が違えば、実際に手元に残る利益はまったく違う。この気づきが、次の発想につながっていきます。
でも、材料費率が良くても、利益が残るとは限らない
ここが今日いちばん伝えたいところです。
サロンの利益というのは、売上から材料費だけを引いて出るものではありません。家賃、人件費、水道光熱費、そのほかの経費——材料費はその中の一つのピースにすぎません。材料費率がどれだけ優秀でも、他の部分に穴があれば、利益は静かに削られていきます。
逆に言うと、材料費率だけを見て「うちは大丈夫」と安心してしまうのは、少しもったいない状態です。材料費率は大事な指標ですが、利益率そのものではない、という区別を持っておく必要があります。
数字で見る例
たとえば、材料費率がどちらも同じ8%の、2つの架空のサロンで考えてみます。
- サロンA:客単価8,000円
- サロンB:客単価6,000円
1日10人に施術したとすると、売上はサロンAが80,000円、サロンBが60,000円。材料費率は同じ8%なので、材料費はそれぞれ6,400円と4,800円。ここから材料費だけを引いた粗利額は、サロンAが73,600円、サロンBが55,200円になります。差は18,400円。これが月24日営業だと、月間で約44万円の差になる計算です。
材料費率という「割合」だけを見ていると、この差にはなかなか気づけません。同じ8%でも、何に対しての8%なのか——分母である客単価が変われば、残る金額はまるで違ってくるということです(※この数字はあくまで説明のための架空の例です)。
材料費以外に、利益に効いている数字
材料費率の外側で、利益に効いてくる数字はいくつかあります。すべてを完璧に管理する必要はありませんが、頭の片隅に置いておくと、材料費率だけを見ているときには気づけなかった穴が見えてきます。
稼働率(空いている時間)
予約表を見ると埋まっているように見えても、実際には施術と施術のあいだに、細かい空き時間が挟まっていることがあります。この「見えない空き時間」は、材料費のように帳簿に数字として残らないぶん、見落とされやすい部分です。
客単価の中身
さきほどの例のとおり、客単価は利益額に直接効いてきます。メニュー構成を見直すのか、店販を無理なく提案するのか——ただし、店販の売上を材料費の計算にそのまま混ぜてしまうと、逆に数字が読みにくくなります。この切り分けについては店販と材料費は分けて考えるでくわしく書いています。
動かない在庫・廃棄
期限切れや使い切れなかった薬剤の廃棄も、材料費率には出てこないのに、実際にはお金が消えている部分です。ここは美容室の薬剤ロスを減らす方法であらためて触れています。
材料費の見える化が、他の数字への入り口になる
材料費を毎回自分で計算し直すのは、正直けっこうな手間です。だからこそ、僕は在庫を記録していくだけで材料費率が自動で見える仕組みを作りました。
ここで大事にしたいのは、「材料費が見えたら終わり」ではないということです。材料費という一つの数字がはっきり見えるようになると、そこで浮いた意識や時間が、客単価や稼働率といった、これまで漠然としか捉えていなかった数字にも向くようになります。材料費の見える化は、利益率を上げるための出発点であって、ゴールではありません。
まとめ
- 材料費率が適正ラインに収まっていても、それだけで利益が残るとは限らない。材料費は利益を構成する一つのピースにすぎない
- 同じ材料費率でも、客単価が違えば手元に残る金額は大きく変わる
- 材料費以外にも、稼働率・客単価の中身・動かない在庫(廃棄)が利益率に効いてくる
- 材料費の見える化は、利益率を上げるための出発点。そこから他の数字にも目が向くようになる
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著者: SALON STOCK編集部。表参道の美容室で働く現役美容師が、サロンの在庫・材料費管理のために開発した「SALON STOCK」を運営しています。
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