2026-08-28SALON STOCK編集部(現役美容師運営)

カラー剤の在庫管理|色番が多くても迷わない数え方と発注の基準

カラー剤の在庫管理がうまくいかない一番の理由は、管理がずぼらだからではありません。色番が多すぎて、頭で覚えられる量を超えているからです。

結論から言うと、やることは3つだけです。①全部を均等に見るのをやめる ②「これを切ったら頼む」という数字を色番ごとに決める ③その数字を頭の外に出す。この記事では、その3つを順番に説明します。

僕自身、美容師を19年やっていますが、シャンプー剤やトリートメントは感覚で足りるのに、カラー剤だけはどうしても抜けが出ました。理由がずっと分からなかったんですが、あるとき単純な話だと気づきました。品目の数が、他の材料と桁違いなんです。

なぜカラー剤だけ、在庫管理が難しいのか

美容師が扱う材料は、100種類を余裕で超えます。そのなかでもカラー剤は、1つのブランドでも色味×トーンの組み合わせで一気に本数が膨らみます。

しかもやっかいなのが、減り方がバラバラだということ。

  • ベースになる色番は、毎日どんどん減る
  • デザインカラー用の色番は、月に数回しか出ない
  • でも「出ない色」ほど、いざ必要になったとき代わりがきかない

シャンプーなら「そろそろ薄くなってきたな」で気づけます。でもカラー剤は、棚に何本か並んでいると「まだある」に見えてしまう。実際には特定の色番だけがゼロになっていて、それに気づくのが塗る直前、というのが一番よくある形だと思います。

欠品が痛いのは「失敗するから」じゃない

ここは誤解されやすいので、正直に書きます。

カラー剤を切らして、お客様の仕上がりが失敗した——という経験は、僕自身はありません。ベテランほど、手持ちの薬剤で調整してなんとかしてしまうからです。

じゃあ何が問題かというと、選択肢が一つ消えることです。

「もしあの色があれば、その配合を選んでいたかもしれない」。この"もし"が残るのが、地味にきついんです。本来10の労力で済んだ施術が、その1本がないだけで20になる。仕上がりは守れても、削られているのは労力と安全マージンのほうなんですね。

そしてこれは、経験が浅い人ほど重くのしかかります。熟練者は労力で吸収できますが、経験の浅い美容師にとっては「材料が1本ないだけで、そのメニュー自体が出せない」という死活問題になりえます。

カラー剤の在庫を把握する4ステップ

ステップ1:全部を均等に見るのをやめる

カラー剤が発注先ごとに並ぶ商品一覧

まず、色番を3つのグループに分けます。

グループ 特徴 見る頻度
よく出る(主力) 毎日〜週に何度も使う こまめに
ときどき出る 月に数回 週1回
ほとんど出ない 数ヶ月に1回だが代替不可 棚卸しのとき

全色番を同じ熱量でチェックしようとすると、続きません。主力だけを毎回見ると決めてしまったほうが、結果的に抜けが減ります。

ステップ2:色番ごとに「切ったら頼む数」を決める

在庫管理では、これを発注点と呼びます。難しく考えなくて大丈夫で、要するに「これ以下になったら注文する本数」です。

決め方はシンプルで、こうです。

発注点 = 届くまでの日数に使う量 + 少しの余裕

たとえばディーラーに頼んで届くまで3日、その色番を1日あたり平均1本使うなら、3本使う計算です。そこに予備を1本足して、残り4本になったら頼む。これだけです。

ほとんど出ない色番なら、届くまでに使う量はほぼゼロなので、「残り1本になったら頼む」で足ります。全部に同じ基準を当てないのがコツです。

ステップ3:数字を頭の外に出す

ここが一番大事です。

決めた発注点を頭の中に置いておくと、忙しい日には必ず飛びます。紙でもアプリでもいいので、色番ごとの数字が、見れば分かる場所に置いてください。

僕は以前、決まった曜日に棚をチェックして発注していました。数はそのときの感覚で、「夏だから多め」「最近使ってないから控えめ」という勘頼み。それで回っているつもりだったんですが、いま振り返ると、頭の中で毎回ゼロから判断し直していたわけです。時間もかかるし、抜けも出る。当たり前でした。

ステップ4:減ったときに記録する(数えるのをやめる)

棚卸しで「今いくつあるか」を数えるのは、正直しんどい作業です。

そこで発想を変えて、使ったときに1本減らす運用にすると、棚卸しの回数そのものを減らせます。数える作業から、記録する作業への切り替えですね。バーコードが読めるなら、そこはさらに楽になります。

よくある詰まりどころ

「まとめ買いしたほうが安いから」で持ちすぎる これは僕もやりました。安く買えたつもりが、期限切れで捨てて結局高くつく。詳しくはカラー剤の使用期限と管理で書いています。

複数人で使っていて、誰が減らしたか分からない チームだと「いつも減らないから大丈夫」と思っていた色番を、別のスタイリストが立て続けに使って気づいたらゼロ、がよく起きます。ここは個人の注意力ではどうにもならないので、スタッフ間で在庫を共有する仕組みが要ります。

発注したかどうかを忘れる 「頼んだっけ?」で二重発注、あるいは頼んだつもりで頼んでいない。これも記憶に頼る限り、なくなりません。

「見える化」してしまえば、迷う時間がなくなる

ここまで読んで「やることは分かるけど、それを続けるのが大変なんだよ」と思った方も多いと思います。まさにその通りで、僕もそうでした。

僕はもともと、自分用にNotionで在庫の仕組みを組んでいました。それを美容師仲間にシェアしたら「自分も使いたい」という人が思ったより多くて、でも操作が難しくて使えなかった人もいた。だったらアプリにしたほうが絶対いい、と思って作ったのが「SALON STOCK」です。

やっていることは、この記事に書いた3つとまったく同じです。色番ごとに今いくつあるかが見えて、「これを切ったら頼む」の基準を持っていて、下回ったら教えてくれる。それだけです。

正直に言うと、在庫管理は美容師が"上手くなる"べき仕事ではないと思っています。カットやカラーは経験を積むほど上達しますが、発注管理は何年やっても上達しません。時間的なコストがかかる割に、経験から得られるものが圧倒的に少ない。だったら、そこは仕組みに預けて、浮いた時間を勉強と練習に回したほうがいい、というのが僕の考えです。

まとめ

  • カラー剤の在庫管理が難しいのは、色番の数が頭で覚えられる量を超えているから。管理能力の問題ではない
  • 欠品の本当のコストは「失敗」ではなく、選択肢が一つ消えることと、その分だけ増える労力
  • 全色番を均等に見るのをやめて、よく出る/ときどき出る/ほとんど出ないの3つに分ける
  • 色番ごとに「切ったら頼む数」(発注点=届くまでに使う量+余裕)を決める
  • 決めた数字は頭の中でなく、見れば分かる場所に置く
  • 数えるのをやめて、使ったときに減らす運用に変えると棚卸しが軽くなる

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著者: SALON STOCK編集部。表参道の美容室で働く現役美容師が、サロンの在庫・材料費管理のために開発した「SALON STOCK」を運営しています。

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