2026-07-20 ・ SALON STOCK編集部(現役美容師運営)
カラー剤の使用期限と管理|期限切れで捨てないための在庫の回し方
薬剤の棚を整理していて、奥のほうから開封済みのカラーチューブが出てきて、「これ、いつ開けたんだっけ」と手が止まった経験、ありませんか。
僕はあります。しかも一度や二度ではありません。においを嗅いで、色を見て、なんとなく大丈夫そうだから使う。あるいは、なんとなく不安だから捨てる。その「なんとなく」で判断していること自体が、実はけっこうもったいないんです。
カラー剤やパーマ液にも、ちゃんと使用期限があります。ただ、正直に言うと——現場で「期限切れで捨てた」となる本当の原因は、期限そのものよりも、在庫の回し方にあることが多いんです。今日は、品質を落とさずに期限切れの廃棄を減らす考え方を、やさしく整理してみます。値段の安い薬剤に変えましょう、という話ではありません。
そもそも、薬剤に使用期限はあるの?
あります。カラー剤も、パーマ液(1剤・2剤)も、化学的に反応する製品なので、時間が経つと少しずつ性質が変わっていきます。
大事なのは、期限には「開封前」と「開封後」の二つがあるということです。
開封前(未開封)の期限
未開封の状態では、パッケージや外箱、メーカーの公式情報に期限の目安が書かれていることが多いです。ここは製品によって、そしてメーカーによってかなり幅があるので、必ずお使いの製品の表示を確認するのが基本になります。ここで具体的な月数を断言しないのは、ブランドや剤の種類でまるで違うからです。
開封後の期限
やっかいなのは開封後です。空気に触れた瞬間から、酸化がじわじわ進みます。開封後は、未開封の期限とは別モノとして考えたほうがいい、と覚えておくと安全です。
つまり、「箱に書いてある期限までは大丈夫」と思っていても、開封してしまえば話が変わる。ここが見落とされやすいポイントだと思います。
「期限切れ」は、期限より在庫の回し方で決まる
ここが今日一番伝えたいところです。
期限切れで捨てることになるのは、多くの場合、薬剤の寿命が短いからではありません。買った順番に使えていないからです。
たとえば、こんな光景に心当たりはないでしょうか。
- 新しく届いたカラーを、取り出しやすい棚の手前にポンと置く
- スタッフはいつも手前から取る
- 奥にあった前のロットが、ずっと奥に残り続ける
- 気づいたら、奥のものだけ期限が近い(あるいは過ぎている)
これ、材料の寿命の問題ではなく、並べ方と取り方の問題なんです。古いものから使えていれば、そもそも期限切れになりにくい。
期限切れを減らす、無理のない3つの習慣
特別な道具は要りません。順番はこうです。
1. 先入れ先出し(古いものから使う)
物流の世界では「先入れ先出し(FIFO)」と呼ばれる、当たり前だけど効く習慣です。難しく考えなくて大丈夫で、要は新しく入ってきたものを奥に、古いものを手前に置くだけ。届いた薬剤を補充するとき、ほんの一手間、奥に差し込む。これだけで「奥の在庫だけ期限が過ぎる」がぐっと減ります。
僕がおすすめしたいのは、開封したときに開けた日付をチューブに小さく書いておくことです。マスキングテープでもいい。「なんとなく古そう」を「◯月に開けたやつ」に変えるだけで、判断の迷いが消えます。
2. 持ちすぎない(適正在庫を決める)
期限切れの一番の温床は、「安いから」のまとめ買いと、「なくなったら困る」の過剰在庫です。安く買えたつもりが、使い切れずに期限切れで捨てたら、結局は高い買い物になってしまう。これは僕自身、身に覚えのある失敗です。
ここで効くのが、感覚ではなく数字のラインです。発注点(ここまで減ったら頼む)と適正在庫(持ちすぎない目標量)を決めておけば、期限切れになるほど抱え込むこと自体が起きにくくなります。発注点の考え方は発注点(リオーダーポイント)の計算方法でくわしく書いています。
特に、指名の多かったお客様に合わせて仕入れた特別な色や、季節限定で出したメニューの薬剤は、使う人が来なくなると一気に動かなくなります。こういうものほど、少なめに、こまめに、が安全です。
3. 動かない在庫に、早めに気づく
「これ、何ヶ月も減っていないな」に早く気づけると、期限が来る前に使い切る算段ができます。他の調合に少しずつ混ぜる、キャンペーンで使う、といった打ち手は、期限が来てからでは間に合わない。動きの止まった在庫に、早めに気づけるかどうか。ここが分かれ目です。
動かないまま棚の奥で眠っている在庫のことは、美容室の薬剤ロスを減らす方法でもう少しくわしく触れています。
なぜ「期限切れの廃棄」を減らしたいのか
僕は「損しますよ」と脅したいわけではありません。期限切れが一本あったからといって、その日の施術が失敗するわけでもない。
ただ、削られているものはあります。それは還元できたはずの余白です。捨てずに済んだぶんは、お客様へ——同じ価格でもう一歩いいものを。自分へ——時間や収入の余裕に。環境へ——捨てるものを減らす。安さで解決するのとは、まったく違う手触りだと思います。
それに、もう一つ大事なことがあります。期限管理は、コストの話であると同時に、品質と安全の話でもあります。劣化した薬剤は、思った色が出なかったり、髪や頭皮への影響が変わったりするリスクがある。お客様に向き合う仕事として、ここは曖昧にしたくない部分だと思っています。
すべては「今、何が、いつから」が見えることから
ここまでの3つは、どれも「今どれだけあって、いつ入ってきて、どれだけ動いているか」が見えていることが前提です。頭の中だけで100種類を超える薬剤の期限を管理するのは、正直、無理があります。
在庫管理アプリ「SALON STOCK」は、在庫を記録していくと今の在庫と材料費が自動で見える化されます。発注点を決めておけば「そろそろ発注」と教えてくれるので、まとめ買いも欠品も防ぎやすい。持ちすぎを防げれば、期限切れの廃棄も自然と減っていきます。
「なんとなく古そうだから捨てる」「なんとなく大丈夫そうだから使う」——その「なんとなく」を数字に変える出発点になれたら、うれしいです。
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まとめ
- カラー剤・パーマ液にも使用期限があり、「開封前」と「開封後」は別モノ。開封後は酸化が進むので短く見るのが安全(具体的な期限は製品・メーカーの表示を確認)
- 「期限切れで捨てる」の本当の原因は、期限の短さより在庫の回し方。古いものから使えていないだけのことが多い
- 減らすコツは、①先入れ先出し(古いものを手前に・開封日を書く) ②適正在庫で持ちすぎない ③動かない在庫に早めに気づく
- 期限管理はコストだけでなく、品質と安全の話でもある
- すべての出発点は、在庫と材料費の「見える化」
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著者: SALON STOCK編集部。表参道の美容室で働く現役美容師が、サロンの在庫・材料費管理のために開発した「SALON STOCK」を運営しています。
■ のっち確認ポイント(推測・仮置きした箇所)
- 薬剤の化学的な性質の記述(「2剤=過酸化水素は空気に触れると分解が進みやすい」「パーマ2剤も同じような性質」「開封後は酸化が進む」)← 一般的な化学知識ベースで書きました。美容師としての実感・表現とズレがないか、断定しすぎていないかを確認してください。特に成分名(オキシ・過酸化水素)の出し方
- 使用期限の具体的な月数・年数は一切書いていません(製品・メーカーで幅が大きいため意図的にぼかしました)。「開封前は箱/公式を確認」「開封後は別モノ」の粒度で止めています。この線引きでOKか。もし「開封後◯ヶ月が目安」等、のっちが実務で使っている目安があれば入れられます
- 「開けた日付をチューブに書く/マスキングテープ」← 一般的な現場の工夫として書きましたが、のっち自身が実際にやっている運用かは未確認。本人がやっていない工夫なら「僕がおすすめしたい」の主語を調整します
- 「安く買えたつもりが期限切れで捨てて高くついた、は身に覚えのある失敗」← のっちのまとめ買い→廃棄の実体験(VOICE BANK)をベースに一人称で書きました。盛りすぎ・一般化しすぎがないか確認を
- アプリ機能の記述は「在庫と材料費が自動で見える/発注点アラート」の2点に絞りました。使用期限の管理機能(期限日を登録→アラート等)は現状の実装に無い前提で、記事には"機能として"書いていません(あくまで持ちすぎ防止→間接的に期限切れが減る、という書き方)。この線引きでOKか。もし期限管理の機能・予定があれば、そこを主役に書き直せます
- pillarは「在庫(inventory)」。主要KW=「カラー剤 使用期限」。既存21(薬剤ロス)との棲み分け=21は"作りすぎ・動かない在庫の見える化"、本記事は"開封後の劣化・期限切れを防ぐ回し方"にフォーカス。この差別化でOKか
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