2026-09-04 ・ SALON STOCK編集部(現役美容師運営)
美容室の発注が続かない理由|iPadを「発注の定位置」にする
「発注しようと思っていたのに、忘れた」
これ、うっかりの問題ではないと思っています。原因はもっと単純で、発注に取りかかるまでが遠いからです。ポケットからスマホを出して、アプリを開いて、在庫を確認して、発注先ごとに数を決めて、卸サイトを開いて……。一つひとつは数十秒でも、施術と施術のあいだの5分でやろうとすると、なんとなく後回しになります。そして気づくのは、カラー剤が切れた当日です。
この記事では、その「遠さ」を物理的に縮める方法として、バックヤードのiPadを発注の定位置にするやり方を紹介します。
発注が後回しになる3つの遠さ
僕のサロンで発注が滞っていたときを振り返ると、遠さは3つありました。
1. 端末までが遠い
スマホは施術中ポケットの中か、下手をすると控室です。手が濡れている、手袋をしている、手が離せない。取り出すこと自体にひと手間かかります。
2. 判断までが遠い
何が足りないかを思い出すところから始まると、それだけで気が重くなります。「シャンプーは残り何本だっけ」を棚まで確認しに行くなら、もう発注ではなく在庫チェックです。
3. 発注先までが遠い
発注先が複数あると、どこに何を頼むかを頭の中で振り分ける作業が発生します。送料無料まであといくらかも、卸サイトのカートに入れ終わるまで分かりません。
この3つのうち、1つ目は端末の置き方だけで解決します。
「定位置」を作るという発想
発注のための端末を、バックヤードの決まった場所に置きっぱなしにします。それだけです。
置き場所の条件は3つ。
- 通りがかりに目が入ること(引き出しの中はダメです)
- 電源が近いこと(充電が切れた端末は、無いのと同じです)
- 在庫の棚から見える距離にあること(「これ減ってるな」と思ったその場で触れる)
美容室でこの条件を満たす端末は、たいていiPadです。スマホは持ち歩くものなので定位置になりませんし、パソコンを開くのは施術の合間には重すぎます。iPadなら、立ったまま数タップで終わります。
朝1分で今日の発注が決まる状態を作る
定位置が決まったら、次は「開いた瞬間に判断できる状態」を作ります。
SALON STOCKをiPadで横向きに開くと、画面が左右に分かれます。左が今の数字、右が今日やることです。
- 左:今月の材料費、要発注の件数、入荷待ちの件数、今月の発注・入荷の回数
- 右:発注アクション(「今日はA社の発注日です」)、要発注リスト、入荷待ちリスト

朝に見るのは、右の一番上だけで足ります。今日どこに頼むかが書いてあるので、そのまま「発注する」に進めます。左の材料費は、決めるためというよりブレーキとして効きます。今月すでに使いすぎているなら、今日の発注はひとつ減らす、という判断ができる。この2つが同じ画面にあることに意味があります。
発注管理の画面も、広い画面では発注先ごとのカードが横に並びます。「A社は送料無料ラインをすでに超えている、B社はあと数千円足りないから今日は見送る」という比較が、スクロールなしでできます。送料無料まであといくらかが発注先ごとに出るので、「まとめて頼めばよかった」の後悔が減ります。

具体的な1日の流れ
- 朝、掃除のついでにiPadを1タップ。右上の発注アクションを見る(ここまで10秒)
- 今日が発注日の発注先があれば、要発注の数量をその場で確認。iPadなら品名と数量が並んで見えるので、指で追う必要がありません
- そのまま卸サイトをアプリの中で開いて発注。対応している発注先なら、足りない品はカゴに自動で入ります
- 発注が終わったら「この内容で発注を記録する」を押す。商品・数量・仕入れ値がアプリに残り、在庫は入荷待ちに変わります
慣れると本当に1分です。大事なのは速さそのものではなく、「発注は朝、あそこで決める」と場所が決まっていることです。人は、決まっている作業なら忘れません。忘れるのは、いつどこでやるか決まっていない作業です。
定位置を作るときの注意点
スキャンまでiPadでやろうとしない バーコードの読み取りや入荷のチェックは、棚やダンボールの前で手に持ってやる作業です。ここはiPhoneのほうが速い。iPadは「決める場所」、iPhoneは「動く場所」と役割を分けてください。
共有の端末は、誰でも触れることを前提にする バックヤードのiPadは、スタッフの誰もが触れる状態になります。材料費や売上を画面に出しておくかどうかは、店として一度決めておいたほうがいい部分です。
充電ケーブルは挿しっぱなしにする 細かいようですが、これが一番よく失敗します。定位置とは、置き場所ではなく「いつでも開ける状態」のことです。
まとめ
- 発注を忘れるのは、うっかりではなく「取りかかるまでが遠い」から
- 遠さは端末・判断・発注先の3つ。端末の遠さは置き方だけで解決する
- バックヤードの決まった場所にiPadを置き、電源を挿しっぱなしにする
- 横向きなら、左に今の数字・右に今日やることが同時に見える
- 発注先ごとのカードが横に並ぶので、送料無料ラインの比較がしやすい
- スキャンと入荷はiPhone。iPadは「決める場所」に徹する
発注そのものの仕組みづくりは「美容室の発注を半自動化する方法|アラートからワンタップ発注までの流れ」、複数の発注先との付き合い方は「美容室のディーラー発注のやり方|卸サイトとアプリの使い分け」でくわしく解説しています。
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著者: SALON STOCK編集部。表参道の美容室で働く現役美容師が、サロンの在庫・材料費管理のために開発した「SALON STOCK」を運営しています。
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